夕陽と横顔
2007年 10月 18日
なぜなら、自転車に乗ることは、仕事の上でも、生活の上でも、自分が生きていくために、なによりもイイ感じだから……。
( 『サイクリング・ブルース』 忌野清志郎 / 小学館 )
僕とカズ、多摩川べりを走ってきた。そしたら、夕刻に素敵なことがあったよ。
三人の小学生が、サイクリングロードいっぱいに拡がって自転車を漕いでいた。僕たち、追い抜きのタイミングをのんびりと見計らっていた。
――まあ、子どもだからしょーがねえ。ここはしばらく、だらだら走ろうぜ、チャーリー
――お、カズってば心の広げな態度じゃん。オトナみたいじゃん
――てめえ、チャーリー。みたいじゃん、はよけいだろうが。オトナなんだよ、オレは。生意気言うと分解すっぞ、ばーらばらにするぞ
――ふふ、やれるもんならやってみればいいじゃん。僕を分解して、移動の手段はどうすんのさ ? 電車、乗るの ? 混んでるぞー、キツイぞー
――くうう。チャーリー、キミって生意気 !
――ふふふ。僕、勝利感 !
…なんて、カズとじゃれあってたらさ、三人組、背後を走る僕たちに気づいたんだ。するとね、彼ら一斉に声をあげた。ごめんなさーい ! と、三人分のごめんなさい。
カズ、思わず本気でお辞儀してたよ。僕を漕いでるから、首だけでなんだけど。
高学年なんだろうな、思春期の入り口にいるっぽい感じの少年たちだった。釣りの帰りだったみたい。マウンテンバイクに竿とかツールボックスなんかを括っていた。
三人を追い抜いてすぐ、カズは彼らのほうを振り返った。
――うわあ……
――なに どうしたの ?
僕、後ろを振り向けないじゃん。だから、訊いてみた。
――あのですね、チャーリーくん。美し過ぎるかもしれない
多摩川に夕陽が傾いていたんだって。少年たち、ますますサイクリングロードに拡がっちゃってさ、自転車漕ぎつつ、夕陽を眺めてたんだって。でね、並べた横顔を朱に染めてたんだってさ。
――あいつら、イイやつだな
カズ、前景に集中し直しながら呟いた。
――けっこう生意気そうな面構えなのに、そろいもそろって夕陽にうっとりしてやんの
僕を漕ぐカズの力が強くなった。照れ隠し、感動隠しだったのかもね。
# by tokigakataru | 2007-10-18 19:26



















































































